Online よろず相談所

アラ50の医師が ゆるい説明しています

人工呼吸の考え方4 VC PC

 

呼吸器の感が方 VCとPCです。
よく試験に出るところです。学生さんは気をつけて。
 
前回人工呼吸器3では、人工呼吸器の設定には分時換気量(MV)の設定が大事で、
このMVの設定のために、一回換気量(TV)と呼吸回数(RR)をそれぞれ設定するんでした。
 
呼吸回数はすぐに分かると思います。
単純に1分間あたり、何回"呼吸"するかですから。
 
一回換気量は500mlとか600mlとかという値です。
なのでそれをそのまんま設定するのが
従量式換気: Volume Control Ventilation: VCです。
シンプルです。設定しやすいです。
 
この設定の最大のメリットは設定がわかりやすいことと、ちゃんと機械が呼吸させるという点。
この呼吸モードが使えていれば、相方は知らなくても無問題レベル。
 
デメリットがあります。肺が重い、硬い、片肺挿管になっている、痰づまりで無気肺ができているような時、気道内圧が高くなりすぎ、肺損傷を起こす可能性があります。注意深く観察してればいい? そのとおりです。
 
 
これに対して、もう一つの設定が
従圧式換気: Pressure Control Ventirlation; PCです。
呼吸器が送る空気の圧を設定し、吸気時にその圧で肺をふくらませる方法です。
この設定の最大のデメリットは、呼吸量の保証がないことです。挿管チューブが痰つまりを起こして空気抵抗が大きくなったら、その分想定より少ない空気しか送られないことになります。
 
なんでそんな不安定な設定があるのか?
それは、設定した気道内圧以上には高くならないため、重症化した肺にとても優しいのです。そしてこれが最大のメリットです。
 
 
重症な患者を扱う集中治療の医者はこっちを好みます。肺に優しい麻酔科医もこっちかな。
私はイキってる医者なので、いつもPCです。