これらは何が悪いのか?
現在日本人の死因は上位から
1. ガン
2. 心疾患
3. 脳血管症害
となっています。
症状は違えど、心疾患と脳血管障害は同じ血管系のトラブルが原因なので、これを合わせるとガンを抜いて日本人の死因トップに躍り出ます。血管のトラブルはそれだけヤバいわけです。高血圧・高脂血症・糖尿病を放置し、さらにタバコなんか吸った日にはもはや・・・。
でもこれらはなんで悪いのでしょうか?
ここで血管を心臓と臓器をつなぐパイプだと思ってください。
このパイプを流れている液体の圧が高ければ高いほど破損しやすいですよね。
また、パイプを流れる液体に不純物がおおいと、パイプの壁にへばりついて錆びさせたり詰まらせたりするのです。
だから血圧は下げといたほうがいいし、糖尿病や高脂血症があるなら正常に保っておいたほうがいいのです。
それとタバコには血管収縮作用があり、動脈硬化を勧める作用があります。
血圧については前回お話ししました。血圧が常時130/80以下であることが大事です。
塩分はなるべく少なくすること、いくらかでも汗をかくような運動を続けることがポイントになります。
今回はこの糖尿病の話をしましょう。
<糖尿病の発見>
まず糖尿病が発見されたのは古代エジプト。パピルスに記録が残っているそうです。尿にアリが集まってくる人たちがいて、その人たちがある特徴的な症状を訴えることから糖尿病という名前がつきました。
その特徴的な症状とは
1. のどが渇きやすく尿の回数が多い
2. やせ形で体重が軽くなる
3. 目がかすむ
4. 早死する
でした。
尿に糖が混じっているから糖尿病とですが、実際尿に糖が出てしまったらすでに重症です。糖尿病とは血液中の糖が高い状態をいいます。
<糖とは?>
では糖とは何か?
糖は脳や筋肉など全身の細胞の重要なエネルギー源です。
特に脳のエネルギー源としてはブドウ糖しかないくらい大事です。
ブドウ糖・果糖という糖が単体で出来ている糖の他に
ショ糖・乳糖という糖が2つくっついている糖
は食べて甘く感じる糖です。
デンプンは糖がいっぱいつながって出来ている糖で、ごはん・パン・麺・芋などに大量に含まれています。これらは砂糖ほど甘くないのですが、口に含んでカミカミしているうちにデンプンが唾液アミラーゼで分解されブドウ糖などになるのでだんだん甘くなってきます。
ちなみにアルコールは等を微生物に分解させてできるものです。糖のある植物からならお酒が作れます。
糖尿病とかダイエットで甘いものはダメだからと、果物や菓子はダメだといって、その代わり甘くないご飯やパンをいっぱい食べる人いるんですが、糖をいっぱい摂取していることには代わりありません。
食べ物にはどれぐらいの糖が含まれているのでしょうか?
「食べ物 角砂糖」で検索してみてください。
あの甘いコカ・コーラ。どれだけ砂糖が入っているでしょうか。
角砂糖は1個3-4gです。
糖1g 4kcalです。
コカコーラは100mlに11.3g。角砂糖4個くらい。
コカ・コーラ1本のむことは角砂糖16個食べることと同じです。
ハーゲンダッツは 角砂糖5個
りんご1こ 角砂糖6個
バナナ 角砂糖4.5個
食パンスライス一枚 角砂糖9個
ごはん一杯 角砂糖17個
じゃがいも 1個100g 角砂糖5個
よくあるピザ 角砂糖 19個
よくあるパスタ 角砂糖21個
カレーライス 角砂糖35個
一方、一日に必要なカロリーは年齢や性別、一日の運動量でまちまちですが
男性で2000kcal、女性で1700kcalと言われます。
一日のうちの必要カロリーのうち、糖質は50%以下に抑えるべきで、そう考えると角砂糖で62個以下にするべきです。
コカ・コーラ500ml飲んで、ごはん茶碗1杯食べたら一日に摂取できる糖質の半分はとってしまったということです。
昼にパスタたべて夜にカレーライスたべてコーラ飲んだら、一日分の糖質オーバーです。
<糖の代謝>
食べた糖はどうなっていくのでしょう?
ご飯やパンなどは糖に分解され小腸で吸収されます。吸収された糖質は血液中に移動し、脳や筋肉などの全身の細胞に届けられます。各細胞は糖をエネルギー源として取り込むのですが、そのままでは取り込めません。脳や筋肉など全身の細胞の入口には鍵がかかっていて、糖はそのままでは入れないのです。細胞という部屋のドアに鍵がかかっています。
このとき鍵の役割をするのがインスリンです。インスリンは鍵のかかったドアを開けるのが仕事です。インスリンは膵臓のランゲルハンス島と呼ばれる細胞で作られます。
インスリンがドアを開けることにより、血液中の糖が細胞内に取り込まれ、細胞はエネルギーを受けることができます。血液が糖が細胞に移動するので血糖が下がります。食事をして血糖値が上がるとインスリンが分泌され、脳や筋肉などの細胞のドアを開ける鍵のような役目をし、糖が細胞内に入りエネルギーとなり、身体を動かしたり身体を温める熱に変換します。過剰にとった糖は、貯蔵のため、脂肪に置き換えられ、脂肪細胞に取り込まれます。肥満の原因はこの脂肪細胞が肥大化し、その数が増えるからです。
ちなみに、脂肪細胞は過剰な糖によってのみ巨大化するので、 糖質をへらせば脂肪は大きくならない! という理論に基づいたダイエット法が低糖質ダイエットです。糖はなるべく減らす。その代わりタンパク質や脂肪は脂肪にならないからすきなだけ食べてよいと。脳は糖しか分解できないことなどもあり、極端に制限するダイエットには賛否両論ありますが、角砂糖に換算して62個を下回る程度の制限なら悪影響はないのではないかと思います。結果にコミットするあの有名なジムは筋トレも指導しますが、とにかく食事制限・糖質制限を重点的に指導することで、結果にコミットしているそうです。
<高血糖が引き起こす病気>
話をもどして
過剰な食事で上昇した血糖に対して、血糖を減らすメカニズムがうまくいってない状態だと、基準値より高血糖となり、これが糖尿病の状態です。
コーラとかオレンジジュースを机にこぼして放置するとどうなります?
ベタベタしますよね。
血液がずっと高血糖で晒されていると、血液がそんなふうにベタベタするのです。
これが全身の血管のいたるところで起きます。
細かい血管は詰まってしまいます。血液の流れが滞ってしまいます。血液は酸素と栄養を各細胞に届けるものであり、血管がつまって、血液が流れてこなくなった細胞は機能停止・死んでしまいます。
ある程度太い血管でも、血管の壁に一部損傷がおきたりします。
損傷したところは治そうとするメカニズムが働くのですが、これが繰り返されると再生が追いつかず、どんどん血管が固くなります。これが動脈硬化です。
動脈硬化とはつまり老化です。
高血糖は体中の血管を老化・悪化させるのです。
目の網膜の血管は特に細くて血糖のダメージを受けやすいです。これがかすみ目の原因となります。かすみ目なんて言っているうちは可愛いもので、網膜の血管はもろく出血しやすいです。こうなると失明となってしまいます。
同様に高血糖の尿が作られる腎臓も影響をうけやすいです。腎臓は血液を濾して尿を作るのが仕事ですが、高血糖でそのフィルターが壊れやすいくなるのです。
腎臓がダメになると尿がつくられません。まったく尿がでない状態だと3-4日くらいで死んでしまいます。
死なないために週に3回の透析が必要になります。
本人が払うわけではないですが、透析患者さん1人に年間300万円もお金が使われます。こういったことも国民健康保険の負担になっています。
いたるところの血管がダメージを受けます。
心臓の血管がダメージを受ければ心筋梗塞
脳の血管がダメージを受ければ脳梗塞
足の血管がダメージを受ければ足が腐り落ちて切断することもあります。
糖尿病では神経の症状も忘れては行けません。神経細胞はとても繊細でダメージを受けやすいです。ダメージされると感覚異常が起きます。細い血管から感覚がなくなっていきます。
その他ガンも血管の悪化から来るとも言われています。
そうやって考えるとガンと心疾患、脳血管疾患合わせて死因全体の50%以上糖尿病と関連していると言えるのです。
糖尿病は日本人の死亡原因のグランドチャンピオンと言えるかもしれません。
やはり血糖は高くしないほうがいいですね。
症状でほかに
のどの渇きとや尿の回数が多いこと
やせ形で体重が軽く、目がかすむ
というのがありました。
尿に糖が出てくるくらいになると、尿の浸透圧があがり、水分が糖に引っ張られて体内から水が出て行ってしまうため、尿の量・回数が増えます。尿が多いので水分が足りなくなり喉が乾きます。
また、インスリンがすくなる状態では、糖を十分吸収できてないわけですから、やつれるように痩せてしまいます。血糖が高すぎて救急車で運ばれれてしまうような、糖尿病性ケトアシドーシスなんてものもあります。
<糖尿病の種類>
糖尿病には2種類あります。
I型糖尿病: 先天的にランゲルハンス細胞がインスリンを分泌しない
II型糖尿病: 高血糖な生活をしているうちに、細胞がインスリンに反応しにくくなった、あるいはランゲルハンス細胞がくたびれてしまってインスリンが出なくなった
大人になってからかかる糖尿病はほとんどがII型糖尿病です。
<糖尿病の検査>
あなたの血糖値は大丈夫ですか?
血糖値は血液検査で調べます。
昔は空腹時の血糖をしらべ、75gの糖を飲み、血中の血糖の変化をみて糖尿病を診断してました。食べないで病院に来てくださいというアレです。
いまはHbA1cというもので測定します。これは赤血球のヘモグロビンにどれくらい糖がくっついてるかを見るもので、だいたい2ヶ月くらいの状況がわかります。
医者にかかる前の日から断食してもバレちゃいます。
この血糖値が6.0未満であればとりあえず糖尿病はないです。
健康診断は、健康促進、病気に対する理解を促すものなので、結構厳しめです。
HbA1C 5.6-6.0を境界型と呼びます。
<低血糖>
血糖は低ければ低いほどいいというものではなく、低血糖という病態もあります。
厳しすぎる糖尿病治療をすると、容易に低血糖発作が起きます。
脳の細胞は糖しか栄養に出来ないので、低血糖となると脳の機能が止まってしまいます。ひどいと意識消失とか昏睡になったりすることがあるので、特に高齢者にはきびしすぎる管理はよくないとされています。
糖尿病と言われたら長生きのためまずは食べる糖質を減らしましょう。
長寿に興味ない人でも、糖尿病で引き起こされる多くの病気はどれも辛く痛く苦しいです。病気が好きな人はいないでしょう。血糖値はきっちり下げましょう。
年齢・性別・身長によって一日必要カロリーが違うので、それは検査した施設で指導を受けてください。一日1600kcalと適切な運動。まずはこれが目安でしょうか。
以前、外食だけで高血圧が悪化した人の話を書きましたが、同様に入院するだけで糖尿病の値が良くなるケースもいっぱい経験しました。カロリーをきっちり計算された制限食だけにしたら、血糖値がさがり薬も不要になり、しかも痩せたのです。簡単に自由にモノが食べれる環境の現在社会は、糖尿病そしては罠でいっぱいということですね。
食事制限や運動だけでだけでうまくいかない場合は薬を使います
糖尿病の薬には大きく分けて
ビグアナイド薬 インスリン抵抗性よ改善させる
α-グルコシダーゼ 糖の分解吸収を遅らせる
チアゾリジン インスリン抵抗性を改善させる
DPP-4阻害薬 インスリンの分解を遅らせ、効果を長持ちさせる
SGLT2阻害薬 尿に糖を捨てさせる
などがあります。詳しいことは、処方した先生や それぞれネットや本で調べてみてください。
糖尿病は生活習慣病です。
放置しても今日はなんともないし、明日もなんとも無いです。
おそらく来月も来年も目立つことは起きないでしょう。
しかし体内では血管の老化がどんどん進みます。ギリギリ安定をみせていた血管系が破綻し、○○梗塞やら○不全やら・・・
死ぬのイヤじゃないですか?
死ぬのは平気って人でも病気になって嬉しいってことは無いでしょう。
想定外の病気になることは受け入れるしかないこともありますが、予防できるものは予防できるものです。
元気なうちから予防しませんか?
楽しく元気で天寿全うできるように。