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アラ50の医師が ゆるい説明しています

2 前負荷とはなにか?

前不可とは拡張期の心室にどれだけの血液が入り込んでくるのか?の指標です。

 

前負荷を英語でいうとPreLoad。直訳すると心臓の前にかかる負荷。

負荷という文字が“負ける”とか“負担”を連想させるため悪いもののように感じがちです。

前負荷の指標はCVP(中心静脈圧)が有名で、この値が高すぎると心不全と診断されがちです。これもあって、前負荷は悪いものというイメージが付きやすいんだと思います。しかし適正な前負荷がなければ循環は成り立たないのです。

 

 

全身から戻ってきた血液が右心房を通り右心室へ流れ、肺でガス交換された血液が左心房を通り左心室へながれそして全身へ送られるのが循環です。血液に限らず、物質は圧力の高いところから低いところへ流れます。

循環をジェットコースターに例えてみましょう。大小のチェーンリフトが二つあるジェットコースターをイメージしてください。酸素になったつもりでイメージしてみてください。酸素であるあなたは肺でジェットコースターに乗り込みます。乗り物はまさにヘモグロビン。着席するとブレーキがはずされコースターは低速ながら前に進み出します。いくらかすすむと巨大なチェーンリフトが現れ高いところまで引っ張り上げられました。一番高い位置でリフトから解き放たれると、あとは重力エネルギーに従ってどんどんコースを進んでいきます(宙返りはありません)。そしてすみずみまで進んだところで終点。ブレーキがかけられコースターは止まり、ここでお客さんである酸素は降ろされます。乗客を降ろしたコースターは次の乗客を乗せるためまた進み出し、小さなチェーンリフトにのり少し重力エネルギーをうけとり、次の酸素をのせる出発地点まで移動するのです。

このときの、酸素乗り場、酸素降り場からチェーンリフトまで移動するのにもいくらかの圧差が必要です。全く0だったら自力で移動できないコースターは動けません。この圧差が前負荷といえるでしょう。

 

前負荷を決めるのは循環血液量と静脈からどれだけ血液が戻ってくるかです。出血性ショックや脱水状態のような循環血液量がいちじるしく低下しているような状態では循環動態が破綻します。

 

前負荷の指標といえばCVP。中心静脈圧です。厳密にいうとCVPは右心室の前負荷の指標です。左心室の前負荷の指標は肺動脈楔入圧になります。

 

心不全がおきたということは心臓のポンプ機能がおちたということです。ジェットコースターのチェーンリフトの能力が低下して、コースのてっぺんまで登るのにめちゃくちゃ時間がかかるようになった状態です。すると乗り場に渋滞ができ、お客さんが溢れかえってしまいます。乗り場は人々がぎゅうぎゅうにまっていて圧力が高まってしまいます。こういう理由で右心不全がおきるとCVPが上昇、左心不全がおきると肺動脈楔入圧が上昇するわけです。

逆に前負荷が少ない状態というのは、ジェットコースターに乗る客が少ない状態と言えます。お客さんがある程度集まらないとジェットコースターは稼働しません。循環がとまってしまいます。

 

前負荷は多すぎても少なすぎてもいけません。適正な量があって初めて効率の良い循環が成立します。