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アラ50の医師が ゆるい説明しています

どこで測定した血圧が正解?

血圧を測るといえば、普通は上腕にマンシェットを巻いて測定します。電気屋さんにいくと血圧計が普通に売っていて、中には手首用の血圧計もあります。

ではここで問題です。

どこで測定した血圧が正解なのでしょうか?

右腕でしょうか。
左腕でしょうか。
それとも手首でしょうか。

普段はあまり気にしませんが、実は測る場所によって血圧は変わります。

 

まず左右の上腕。

厳密には右上腕で測るのがよいと言われています。

理由は解剖にあります。

心臓から出た血液はまず大動脈に入り、そこから枝分かれします。
最初に分岐するのが腕頭動脈で、ここから右上肢へ血流が向かいます。

つまり右上肢の血圧は、理屈の上では心臓の圧に一番近いと言われています。

とはいえ、臨床では左右どちらでも大きな問題はありません。
むしろ問題なのは

左右でおおきな血圧差がある場合です。

この場合は動脈硬化や血管の狭窄など、
何らかの血管病変が隠れている可能性があります。

 

最近は手首で測る血圧計も普及しています。

しかし一般的には、上腕血圧より正確性に劣ると言われています。

理由はシンプルです。

手首で測定しているのは橈骨動脈
上腕動脈よりも末梢にあるやや細い血管です。

末梢の血管は

  • 寒いとき
  • 末梢循環が悪いとき
  • ショック状態のとき

などに簡単に収縮し流れが悪くなります。

結果血圧が実際より低く表示されることがあります。

逆に下肢で測定すると、
上肢より高い血圧が出ることが一般的です。

 

集中治療室では、さらに事情が複雑になります。

患者には

  • 上腕マンシェットの血圧
  • 橈骨動脈のAライン
  • 大腿動脈のAライン

など、複数の血圧が同時に表示されることがあります。

そしてそれらの値は

普通は一致しません。

むしろ完全に同じ数字のほうが珍しいくらいです。

ではその場合、
どの血圧を信じればよいのでしょうか。

 

動脈カテーテルで測定した血圧が
最も正確だと言われることが多いです。

確かに連続的に測定できるという点では優れています。

しかし動脈ラインはいずれ抜去するものです。
そう考えると、最初からマンシェット血圧を基準にするべきだ
という考え方もあります。

ではどれが正解なのでしょうか。

私の個人的な意見は

「どれでもよい」

です。

 

以前の記事でも書きましたが、
臨床では絶対値よりも変化のほうが重要です。

どの測定方法を基準にするかをチームで決め、
その値がどう変化していくかを観察する。

それで十分だと思います。

 

むしろ測定方法によって
大きな差があること自体が重要な情報です。

例えば橈骨動脈に狭窄があれば
手首の血圧は低くなります。

これは動脈硬化のような器質的狭窄だけではありません。

  • 低体温
  • 末梢循環不全
  • ショック

こうした状態でも末梢動脈は収縮します。

ショックが進行すると、
橈骨動脈の脈は触れなくなり
頸動脈や大腿動脈しか触知できなくなることもあります。

 

理想的な状態では

どこで血圧を測っても、ほぼ同じ値になります。

末梢まで十分に血流が届いているからです。

逆に言えば

測定部位によって血圧が大きく違うときは

体のどこかで循環がうまくいっていない

サインなのかもしれません。

 

血圧というのは
単なる数字ではありません。

それは

体のどこで、どのように測ったのか

という条件付きの情報です。

血圧を読むということは
数字を見ることではなく

その数字がどこから来たのかを考えること

なのだと思います。