Online よろず相談所

アラ50の医師が ゆるい説明しています

動脈ラインは“波形で読む”モニターである

手術中
血圧は100/50

数字だけ見れば悪くない

しかし

波形がおかしい

何が起きているのか


血圧モニターには2種類ある

カフで測る血圧
そして

動脈ライン(Aライン)


カフは“点”の情報

Aラインは

“流れ”を連続で見るモニター


麻酔科医は

数字より波形を見る


動脈ラインとは何か

動脈にカテーテルを留置し

血圧を直接測定する


1拍ごとの血圧が分かる

そして

波形が見える


この波形には

心臓と血管の状態がそのまま出る


正常な波形

立ち上がりが鋭い

頂点がはっきりしている

その後ゆっくり下がる

途中に小さな切れ込み


これが

ダイクロティックノッチ

大動脈弁が閉じるタイミング


この形が整っていれば

循環は比較的安定している


波形を見ると何が分かるか

Aラインで見るべきは3つ


・立ち上がり
・脈圧
・トレンド


これだけで十分


思考の順番

波形を見たとき

どう考えるか


① 波形は出ているか

なければ

回路トラブル
もしくは心停止

まず触る


② 立ち上がりを見る

鈍い → 収縮力低下

心不全
虚血


③ 脈圧を見る

ここが重要


脈圧が狭い

→ 出血
→ 脱水
→ ボリューム不足


脈圧が広い

→ 血管拡張
→ 敗血症
→ 麻酔


脈圧は

「どれだけ血液が押し出されているか」

その指標


④ トレンドを見る

急変か
徐々か


急変

→ 出血
→ 塞栓
→ ショック


徐々

→ 麻酔
→ 体液不足


この順番で見ると

迷わない


よくある落とし穴

血圧は正常

しかし

脈圧が狭い


これは危ない


血圧という“数字”は保たれていても

流れは悪い


逆に

血圧が低くても

脈圧が保たれているなら

まだ余力がある


トラブルを見抜く

Aラインは便利だが

騙されることもある


ダンピング

波形が鈍い

→ 実際より低く見える


オーバーシュート

波形が鋭すぎる

→ 実際より高く見える


つまり

波形そのものが間違っていることがある


だから

数字だけでなく

波形の“質”を見る


まとめ

動脈ラインは

血圧を測るモニターではない


血流を

“波形で見る”モニター


数字では分からない

流れが見える


👉 波形を見れば
血圧の“中身”が分かる


👉 Aラインは
数字ではなく波形で読む