Online よろず相談所

アラ50の医師が ゆるい説明しています

昇圧薬は“目的で使い分ける”

手術中
血圧が下がった

どうする

補液か
昇圧薬か

打つなら何を使うか


とりあえず昇圧薬

よくある対応です


間違いではない

しかし

それで悪化することがある


なぜか

昇圧薬は

「血圧を上げる薬」ではないからです


たまたま

血圧という数字が上がっているだけ


昇圧薬とは何か

昇圧薬は

心臓や血管に作用して

血流の“中身”を変える薬


だから

原因に合わなければ

逆効果になる


血圧の復習

血圧は

心拍出量 × 末梢血管抵抗


昇圧薬は

このどちらか

あるいは両方に作用する


シンプルに3つ

① 血管を締める
② 心臓を強くする
③ 両方


① 血管収縮薬

ノルアドレナリン
フェニレフリン


血管を締める

→ 血圧は上がる


適応

血管が開いているとき

敗血症
麻酔


注意

ボリューム不足に使うと

流れがさらに悪くなる


② 強心薬

ドブタミン


心収縮力を上げる

→ 血流が増える


適応

心機能低下


注意

頻脈
不整脈


※エフェドリン

ボーラスでよく使う

即効性があり

心拍数と血圧を同時に上げる


③ 両方に作用

アドレナリン


強心作用
血管収縮


ショック
心停止


強力だが扱いは難しい


※ドパミン(イノバン)

用量で作用が変わる薬

現在は第一選択になる場面は多くない


思考の順番

血圧が下がったとき

どう選ぶか


① ボリュームはあるか

なければ

まず補液


② 血管は開いているか

開いているなら

血管収縮薬


③ 心臓は弱っているか

弱っているなら

強心薬


これだけ


Aラインと組み合わせる

ここが重要


脈圧が狭い

→ ボリューム不足


脈圧が広い

→ 血管拡張


立ち上がりが鈍い

→ 収縮力低下


波形を見れば

使う薬が決まる


よくある間違い

血圧が低い

→ とりあえず昇圧薬


これは危ない


ボリューム不足に血管収縮

→ 悪化


心不全に後負荷

→ さらに悪化


原因を無視すると

必ず破綻する


迷ったとき

迷ったら

まず補液


そして

少量から使う


まとめ

昇圧薬は

血圧を上げる薬ではない


血流を変える薬


だから

使い分ける


👉 何を使うかは
原因で決まる


👉 血圧ではなく
“低血圧の理由”を治療する