ショック。
医療者なら、
誰でも聞いたことがある言葉。
でも実際には、
👉 「血圧が低い状態」
くらいのイメージで扱われることも多い。
しかし、
本当に重要なのは、
👉 循環不全
つまり、
👉 組織のすみずみまで
👉 血液が届かないこと。
Flow が足りていない。
それこそが、
ショックの本質である。
そして、
ショックを見つけたときに
本当に大事なのは、
👉 “なぜ flow が止まったのか”
を見つけること。
血圧低下は、
ショックの「結果」のひとつ。
血圧の数字を整えることより、
👉 ショックの原因を解除すること
の方が重要である。
ショックとは何か
ショックとは、
👉 組織へ十分な血流が届かない状態
である。
つまり本質は、
👉 flow不足。
その結果として、
- 乳酸上昇
- 尿量低下
- 意識障害
- 末梢冷感
- EtCO₂低下
などが起きる。
重要なのは、
👉 MAPだけ見ても分からない
こと。
血圧は測定しやすい。
だから目につくだけ。
血圧が正常でも、
👉 flow が死んでいる
ことはある。
flow はどこで壊れるのか
flowとは、
循環そのもの。
循環を超シンプルに考えると、
- preload(入ってくる量)
- pump(押し出す力)
- afterload(血管抵抗)
で決まる。
ショックとは、
このどこかが破綻した状態。
そして、
ショックは大きく4つに分かれる。
① 低容量性ショック
― “入ってこない”
血液や水分が不足し、
👉 preload が足りない
状態。
心臓を銃に例えるなら、
👉 弾不足
である。
心臓は頑張っている。
でも、
撃つ弾がない。
その結果、
- 頻脈
- CVP低下
- 尿量低下
- EtCO₂低下
などが起きる。
代表的な原因は、
- 出血
- 脱水
- 熱傷
など。
このタイプでは、
👉 輸液や輸血
が重要になる。
② 心原性ショック
― “押し出せない”
preloadに問題はない。
血液は戻ってきている。
でも、
👉 心臓が押し出せない。
銃で言えば、
👉 出力低下。
代表は、
- 急性心筋梗塞
- 重症心不全
- 重症弁膜症
など。
このタイプでは、
- cold shock
- 肺うっ血
- 尿量低下
- 乳酸上昇
などが起きる。
ここで重要になるのが、
- ドブタミン
- IABP
- ECMO
など。
③ 閉塞性ショック
― “流れ込めない”
preloadはある。
心臓も頑張れている。
でも、
👉 “物理的に邪魔される”
ショック。
代表は、
- 肺塞栓
- 心タンポナーデ
- 緊張性気胸
など。
どれも共通しているのは、
👉 preload障害。
銃も正常。
弾もある。
でも、
👉 弾を込められない。
その結果、
👉 cardiac output が低下
👉 flow が止まる。
このタイプでは、
- EtCO₂低下
- 頻脈
- CVP上昇
- 突然の循環破綻
がヒントになる。
重要なのは、
👉 「圧ではなく flow」
を見ること。
障害物を取り除かない限り、
flow は戻らない。
だから、
ノルアドだけでは
救えないことも多い。
④ 分布異常性ショック
― “血管が広がりすぎる”
血液量はある。
心臓も動いている。
でも、
👉 血管が広すぎる。
代表は、
- 敗血症
- アナフィラキシー
- 神経原性ショック
など。
特に敗血症初期では、
👉 warm shock
になることがある。
血圧は低い。
でも、
手足は温かい。
これは、
👉 血液の配り方が壊れている
状態。
ここでは、
- ノルアド
- 感染源コントロール
- 適切な輸液
が重要になる。
EtCO₂を見る意味
EtCO₂は、
単なる呼吸モニターではない。
EtCO₂は、
👉 “肺へ届いた血流”
を見ている。
つまり、
- preload低下
- cardiac output低下
- flow低下
が起きると、
👉 EtCO₂は下がる。
だからEtCO₂は、
👉 flow monitor
なのである。
MAPだけでは分からない
ショックで怖いのは、
👉 「血圧はある」
ケース。
モニターで血圧が保たれていると、
安心してしまう。
しかも、
ショック初期は分かりにくい。
身体は、
- 頻脈
- 血管収縮
- カテコラミン反応
によって、
ギリギリまで
血圧を維持しようとする。
しかしその裏で、
- 乳酸上昇
- 尿量低下
- EtCO₂低下
が進んでいることがある。
つまり、
👉 見た目は保たれていても
👉 flow は落ちている
のである。
まとめ
ショックとは、
👉 “血圧低下”
ではない。
👉 “flow不足”
である。
そして、
flow は、
- preload
- pump
- afterload
のどこかで壊れる。
重要なのは、
👉 MAPではなく flow
を見ること。
EtCO₂。
尿量。
末梢循環。
「何か悪い」という違和感。
それらを繋げて考えることが、
ショック診療の本質である。
関連記事
- 肺塞栓を見逃すな
― “流れているのに流れていない”ショック - 心タンポナーデ
― “心臓が動けない”ショック - 緊張性気胸
― “呼吸の問題”に見える閉塞性ショック - ノルアドを上げたのに良くならない
― 圧だけ上げても救えない - 血圧はあるのに悪いとき
― ドブタミンを入れるべき瞬間 - ショック対応フローチャート
― “流れ”で考える