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アラ50の医師が ゆるい説明しています

PEEPで血圧が下がる理由 ― “呼吸”が flow を止めるとき

ARDSの患者が、
人工呼吸管理されている。

酸素化が悪い。

SpO₂が低い。


FiO₂を上げても、
あまり改善しない。

酸素濃度を上げ続けるのも、
肺には良くない。


「PEEPを上げよう」

人工呼吸器を調整する。


SpO₂は改善した。

でも、

血圧が下がる。

EtCO₂も下がる。

尿量も減ってくる。


「鎮静が深い?」

「敗血症が悪化した?」

でも、
何か違う。


そのPEEP、

👉 “flow”を止めている

のかもしれない。

PEEPとは何か

PEEPとは、

👉 Positive End-Expiratory Pressure
(呼気終末陽圧)

のこと。


簡単に言えば、

👉 “肺を潰れにくくする圧”

である。


肺胞は、
呼気でしぼみやすい。

特にARDSでは、

  • 肺が重い
  • 水っぽい
  • 虚脱しやすい

状態になっている。


そこでPEEPをかけることで、

👉 肺胞を開いたまま維持する。


その結果、

  • 酸素化改善
  • 無気肺予防

などの効果が得られる。


PEEPは、
肺にとって重要な設定。


しかし同時に、

👉 胸腔内圧も上げる。

ここが重要。

なぜ血圧が下がるのか

心臓へ血液が戻るためには、

👉 静脈還流

が必要。


しかしPEEPが高くなると、

👉 胸腔内圧が上昇する。


すると、

  • 上下大静脈
  • 右心系
  • 肺血管

へ圧がかかる。


その結果、

👉 静脈還流が低下する。

つまり、

👉 preload が減る。


さらに、

肺血管抵抗も上昇する。

すると、

👉 右心室が肺へ血液を送り出しにくくなる。


その結果、

👉 左心室へ届く血液も減る。


つまり、

  • preload低下
  • cardiac output低下
  • flow低下

が起きる。


そして、

  • 血圧低下
  • EtCO₂低下
  • 尿量低下

へ繋がっていく。

「酸素化は改善しているのに悪い」

ここが、
人工呼吸管理の難しいところ。


PEEPを上げると、

👉 酸素化は改善する。

でも同時に、

👉 循環を悪化させることがある。


つまり、

SpO₂だけ見ていると、

👉 ショックを作る。


逆に、

循環だけを優先すると、

👉 酸素化が破綻する。


だから重要なのは、

👉 “妥協点”

を探すこと。


循環が保てて、

なおかつ
最低限の酸素化も維持できる。


そのギリギリを探す。


患者自身の回復力が、
最大限発揮できる環境を作る。

それが、
人工呼吸管理である。

どんな患者で起きやすいか

特にPEEPで循環が崩れやすいのは、

👉 “右心系が弱い患者”

である。


例えば、

  • ARDS
  • 肺塞栓
  • 肺高血圧
  • RV failure

など。


もともと、

👉 右室が頑張っている

状態。


そこへ高PEEPが加わると、

👉 RV afterload がさらに増える。


また、

  • Hypovolemia
  • 敗血症
  • 心タンポナーデ
  • 緊張性気胸

など、

👉 preload依存

の病態でも危険。

よくある間違い

「血圧低下にノルアドだけ追加する」

本質は、

👉 preload低下
👉 flow低下

かもしれない。


「SpO₂だけ見てPEEPを上げ続ける」

酸素化改善と引き換えに、

👉 循環を壊している

ことがある。


「EtCO₂を見ない」

EtCO₂低下は、

👉 flow低下のサイン

かもしれない。


「人工呼吸器は肺だけの設定だと思う」

違う。


人工呼吸器は、

👉 “循環”にも介入している。

まとめ

PEEPは、

👉 肺を守るための設定

である。


しかし同時に、

👉 flow を止める力

にもなりうる。


重要なのは、

  • SpO₂だけ見ない
  • MAPだけ見ない
  • EtCO₂を見る
  • preloadを考える
  • 右心系を意識する

こと。


人工呼吸器は、

肺だけを触っているわけではない。


“循環”も、
同時に動かしている。

それを忘れてはいけない。


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