ICU。
ノルアドも入っている。
MAPは65ある。
SpO₂も100%。
でも乳酸が下がらない。
尿も出ない。
EtCO₂も低い。
なんか悪い。
ScvO₂を見る。
85%。
「酸素は足りている」はずなのに、
患者は悪化している。
何が起きているのか。
SvO₂とは何か
SvO₂。
日本語では、
混合静脈血酸素飽和度。
全身を回って帰ってきた血液の、
「酸素の残り具合」を見ている。
ヘモグロビンを、
“酸素を運ぶバス”
と考えると分かりやすい。
肺でガス交換されたヘモグロビンバスは、
ほぼ満員になる。
そこから左心室を経て、
全身へ出発する。
末梢組織では、
細胞が酸素を使う。
つまり、
バスから乗客(酸素)が降りる。
そのあと、
右心系へ戻ってきた時の
「乗車率」がSvO₂。
正常なら、
60〜80%程度。
つまり、
👉 酸素は全部使い切られているわけではない。
“酸素が余っている”とはどういうことか
ここが重要。
多くの人は、
「SvO₂が高い」
↓
「酸素が足りている」
↓
「良いこと」
と思いやすい。
でも、
そう単純ではない。
SvO₂が高いということは、
👉 “細胞で酸素が使われなかった”
可能性がある。
敗血症で起きること
敗血症では、
循環はおかしくなる。
でも、
問題はそれだけじゃない。
細胞そのものが、
酸素をうまく使えなくなる。
ミトコンドリア障害。
microcirculation障害。
血液は流れている。
酸素も届いている。
でも、
細胞が使えない。
するとどうなるか。
ヘモグロビンバスの酸素が、
大量に余ったまま帰ってくる。
つまり、
👉 SvO₂が高くなる。
“高いSvO₂なのに悪い”
これが、
敗血症ショックの怖さ。
SpO₂は100%。
MAPもある。
でも、
- 乳酸は高い
- EtCO₂は低い
- 尿が出ない
- 四肢は冷たい
- 意識も悪い
flowが破綻している。
SvO₂は “flow monitor” でもある
ここが大事。
SvO₂は、
単なる酸素モニターではない。
👉 「酸素供給と酸素消費のバランス」
を見ている。
つまり、
- flow
- cardiac output
- Hb
- 酸素化
- 代謝
全部の結果。
だから面白い。
SvO₂が低いとき
逆に、
SvO₂が低いとき。
これは、
👉 “細胞が酸素を限界まで取り出している”
状態。
つまり、
「酸素が足りない」。
なぜ足りなくなるのか
① 肺で酸素を積めていない
肺炎。
無気肺。
ARDS。
肺でヘモグロビンバスが満員になれない。
出発時点で酸素不足。
すると、
末梢では残った酸素を必死に使う。
SvO₂は低下する。
② ヘモグロビンが少ない
貧血。
酸素は、
“SpO₂”ではなく、
👉 “ヘモグロビン量”
で運ばれる。
どれだけSpO₂が100%でも、
バスそのものが少なければ、
酸素は運べない。
だから、
末梢は大量に酸素を取り出す。
SvO₂は低下する。
③ flowが遅い
これが重要。
心不全。
低心拍出。
閉塞性ショック。
肺塞栓。
RV failure。
酸素はある。
Hbもある。
でも、
👉 flowが遅い。
つまり、
1分あたりに届く酸素が少ない。
細胞は、
来た酸素を限界まで使う。
SvO₂は低下する。
EtCO₂との共通点
ここで、
EtCO₂とつながる。
EtCO₂も、
👉 「肺に戻ってきた血流」
を見ている。
SvO₂も、
👉 「全身を回った結果」
を見ている。
つまり両方とも、
“結果モニター”
なんです。
だから、
- EtCO₂低下
- SvO₂低下
- 尿量低下
は、
全部
👉 “flow不足”
につながる。
SvO₂だけでは決められない
ここも重要。
SvO₂は便利。
でも、
単独では危険。
例えば、
SvO₂低下。
原因は、
- 貧血?
- low flow?
- hypoxia?
- fever?
- shivering?
- sepsis初期?
全部ありえる。
だから、
- EtCO₂
- lactate
- echo
- Hb
- 尿量
- A line波形
全部合わせて考える必要がある。
“数字”ではなく “流れ”を見る
SvO₂を見るときに大事なのは、
「正常か異常か」
ではない。
重要なのは、
👉 “なぜその数字になったのか”
を考えること。
SvO₂ 85%。
それは、
- 酸素が十分?
なのか、
- 細胞が使えない?
なのか。
SvO₂ 50%。
それは、
- flow不足?
なのか、
- 貧血?
なのか。
数字だけでは分からない。
flowで考える
- MAPは flow ではない
- SpO₂だけでは酸素供給は分からない
- SvO₂は “酸素需給バランス”
- EtCO₂は flow monitor
- 尿量は flow の結果
- “酸素が余るショック” がある
ショックを見るとき大事なのは、
👉 「今、本当に回っているか」
を考えること。
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