ICU。
血圧は悪くない。
MAPも65以上。
ノルアドも減らせている。
でも、
尿が出ない。
腎不全だろうか。
脱水だろうか。
心拍出量不足だろうか。
もちろんその可能性もある。
しかし、
見逃されやすい原因がある。
それが
venous congestion(静脈うっ血)
である。
腎臓は入口だけでは動かない
尿が出ないとき、
私たちはまず腎臓に入る血流を考える。
腎動脈圧。
血圧。
心拍出量。
つまり、
「どれだけ血液が来ているか」
である。
しかし腎臓はただの貯水池ではない。
ろ過器である。
ろ過器が働くためには、
入口だけでは足りない。
出口も必要だ。
腎動脈
↓
糸球体
↓
腎静脈
この流れがあって初めて尿が作られる。
出口が詰まったらどうなるか
高速道路を想像してみよう。
入口から次々に車が流れ込んでくる。
しかし出口で大渋滞が起きたらどうなるだろう。
やがて全体の流れは止まる。
腎臓も同じ。
右心不全になるとCVPが上昇する。
すると腎静脈圧も上昇する。
腎臓の出口が詰まる。
血液が腎臓を通過できなくなる。
尿を作るための flow が失われる。
その結果、
尿量が低下する。
血圧は正常なのに尿が出ない
MAPは保たれている。
だから安心してしまう。
しかし実際には、
腎臓の中で流れが止まっている。
つまり、
血圧はある。
でも flow がない。
見た目は安定。
でも臓器は苦しんでいる。
なぜ輸液で悪化するのか
尿が出ない。
↓
脱水かもしれない。
↓
輸液。
もちろん正しいことも多い。
しかし原因が静脈うっ血なら話は違う。
すでに渋滞している高速道路へ、
さらに車を送り込むことになる。
当然、
渋滞は悪化する。
肝うっ血。
腎うっ血。
浮腫。
酸素化悪化。
そして患者はさらに悪くなる。
心不全治療で利尿薬が効く理由
心不全治療では利尿薬が重要になる。
除水が進むと、
尿量が回復することがある。
なぜか。
腎臓へ行く血液が増えたからではない。
腎臓の出口の渋滞が改善したからである。
腎静脈圧が下がる。
Flowが戻る。
だから尿が出る。
venous congestionはflowの敵
私たちはつい、
MAPや心拍出量ばかりを見る。
しかし flow は入口だけでは決まらない。
出口も整って初めて成立する。
右心不全。
心タンポナーデ。
緊張性気胸。
重症肺高血圧。
これらに共通するのは、
静脈側の渋滞である。
本当に見るべきもの
CVPが高い。
それ自体が問題なのではない。
CVPはただの圧である。
しかし、
その圧が臓器の flow を止める。
だから問題になる。
腎臓は流れているか。
肝臓は流れているか。
腸管は流れているか。
つまり、
臓器の flow は保たれているか。
venous congestionとは、
単なるCVP上昇ではない。
「出口を失った flow」
そのものである。
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