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アラ50の医師が ゆるい説明しています

人工呼吸の考え方 1 FiO2

生きていくためには呼吸が必要です。
全身麻酔のときや呼吸が不十分な状態の時は人工呼吸が必要です。
 
人工呼吸の設定は医者の指示で行うもので、それぞれの先生に設定のこだわりがあるところです。それでも基本というか、大雑把な流れというか、トラブル起きにくい呼吸器の設定、流れについて書きます。
主治医の先生の方針を優先しつつ、参考にしてください。
 
 
初期設定
酸素濃度(FiO2) 1.0
一回換気量(Tidal Volume) 男性 500ml 女性400ml
呼吸回数 10回
PEEP 5mmHg
 
とりあえずこの乱暴な初期設定で呼吸は成り立つと思います。
一回換気量の初期設定を体重x10mlにすることもあります。
これで血液ガスをとりながら微調整していくものです。
 
FiO2: Fraction of Inspiratory Oxygen :酸素吸入濃度 
患者さんが取り込む酸素の濃度です。
酸素100%の時、FiO2 1.0
酸素  50%の時、FiO2 0.5
のように呼ぶのが一般的です。
 
カニューレとかマスクは通常純酸素を投与するので、患者さんも純酸素を呼吸しているように見えますが、鼻カニューレもマスクも、患者さんの鼻元、口元で外気と混合されるため濃度は下がります。
カニューレ3Lの時 FiO2 0.32 
マスク 5Lの時はFiO2 0.4 
と言われています。
 
患者さんが吸う空気の酸素濃度をもっと高くしたかったら、巻き込む外気も酸素にしてしまえばいい、というわけでリザーバーマスクという方法もあります。
 
 
一方、挿管された患者さんは、チューブが直接人工呼吸器につながるため、人工呼吸器で設定した通りの濃度の空気が流れます。
長期に渡る過剰な酸素化は酸素中毒や肺の合併症を引き起こすので、酸素は必要最低限にするべきです。
SpO2も100%である必要は全くありません。下限は主治医と相談してください。個人的に多くの症例で95%以上あればいいとは思ってます。
 
 
人工呼吸器のときのFiO2はなるべく0.6以下。できれば0.5程度にするべきです。
無理に0.5より低くする必要はないと、どこかの教科書でよんだけど忘れました。
 
FiO2を下げたままで酸素化を良くするにはPEEPをかけます。
挿管された状態というのは、口全開で呼吸しているようなもので、それはそれで疲れるものです。挿管されずともPEEPは4-5mmHgかかっていると言われており、その設定にするべきです。PEEP 10mmHgくらいまでは必要に応じてかけます。
ARDSなどの重症肺炎だと、やむなくPEEP 20mmHgかけたこともあります。
 
 
わかんね
ってところを質問してくださると後日もうちょっと詳しく書きます。
 
 
 
二酸化炭素の話へつづく